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平成28年度 SSH事業「SSH総合理科特別講座」



1 目的   大学の研究者による講義を通して、最先端の研究や技術に触れる。これにより知的視野を広げるとともに
        科学技術への興味関心を高め、創造的発想力と論理的思考力による「科学の方法論」を身に付ける。

2 日時   平成28年6月14日(火)14:00~15:30

3 場所   (1)講座1(物理化学分野)  物理講義室
        (2)講座2(生物物理分野)  物理実験室
        (3)講座3(物理化学分野)  化学実験室
        (4)講座4(化学分野)     化学講義室
        (5)講座5(生物分野)     生物実験室

4 対象生徒 3年理系生徒 183名 (興味・関心・志望進路により上記の1講座を選択)

講座:1 (物理化学分野) 物理講義室(担当:小野)
講師:名古屋大学大学未来材料・システム研究所 高度計測技術実践センター 教授 八木 伸也 先生
題目:「ナノを活用した”がん”に対抗する技術:撲滅と早期発見」
概 要:”金”は体に良いと言われていますが、本当でしょうか?私の研究室では金をナノサイズまで小さくする技術を持っています。この手法を用いると、金ナノ粒子が作製できます。このナノ粒子を多少細長い形に加工すると、がん組織を萎縮させることが可能です。また、ロジウム(元素記号:Rh)という金属元素をナノ粒子にすると、なんとがん組織の存在を非常に早期な段階で検出することも可能だと考えています。この不思議な(有用な)機能を発現するナノ粒子の作製と機能について紹介します。
講座番号1 生徒の感想
・物理と医学は関係しないと思っていたけど,今は,物理だけ,化学だけ,生物だけでなく,すべてが融合しているのだと感じた。自分もこれから幅広く知識を身につけたいと思った。
・常に自分の考えをしっかり持って,正しいと思ったことにチャレンジしようと思った。
講座:2 (生物物理分野) 物理実験室(担当:日高)
講師:名古屋大学大学院理学研究科 物質理学専攻 教授 神山 勉 先生
題目:「生物物理学における最先端研究:機能性タンパク質(光駆動イオンポンプ)の4次元構造解析」
講座番号2 生徒の感想
・科学にはまだわかっていないことがたくさんあることがわかった。
今最先端と言われている研究も数年後には機器も発達してあたりまえになると先生もおっしゃっていたから、そこをたくさん利用してさらに先にすすめたら良いと思う。
・講座を受けて、大学の授業のやっていることの一部を見ることができたと思います。
化学・物理では現在、基礎的なことを学んでいます。
ぜひ大学生になって将来実用性のあることの研究を
してみたいと思いました。
・先生にお話をいただいて、生物物理の分野では1つのたんぱく質についての構造を知るというもので、生物分野に特化するとそのたんぱく質を作ったりするというお話を聞いて、自分のやりたい分野というのはこれだ!と、見つけることができた。先生のおっしゃっていたように新しい病気の発見や遺伝子レベルでの研究というのを大学でやってみたいと感じた。
講座:3 (物理化学分野) 化学実験室(担当:小澤)
講師:名古屋大学大学院工学研究科 マテリアル理工学専攻 量子エネルギー工学分野 助教 小川 智史 先生
題目:「水素を作る、貯める、使うナノスケールの機能材料」
概 要:水の電気分解実験でおなじみの水素はエネルギーの運び手として今注目を集めています。太陽光や風力などの自然エネルギーから水素を作り、安全に貯蔵し、電力として使うことが出来れば、大気汚染や地球温暖化の心配がないエネルギーシステムが構築できます。これを支えるのがナノスケール(~10-9 m)のごく小さな材料たちです。本講義では来る水素エネルギー社会とそれを支えるナノ材料に関して紹介いたします。
講座番号3 生徒の感想
・金属のナノ粒子化によって水素の運搬や排気ガスの浄化ができるようになることに興味を持った。
・工学は人の役に立たなくてはいけない。考えるより先にまず作ってみる、やってみるという考え方も大事。
・大学では主体性が大事だと認識した。受け身で授業を受けるのはやめよう(能動的に勉強しよう)と思った。
講座:4 (化学分野) 化学講義室(担当:藤塚,山田哲)
講師:Prof. Dr. Stephan Irle  Institute of Transformative Bio-Molecules (WPI-ITbM) & Department of Chemistry, Graduate School of Science Nagoya University
題目:“The Power of Molecules – The Power of Computation”
概 要:Molecules are everywhere from Earth’s atmosphere to the depths of its oceans. They form the basis for all life and many useful materials such as gases, liquids, plastics, colors, and so on. Chemists can create new, never-before seen molecules that radically change the way we live, such as drugs, pesticides, herbicides, artificial hormones, fluorescent molecules, and the like. In the seminar I will explain the importance of molecules and introduce a selected few interesting ones, and then explain how computers in chemistry can help to create more powerful new molecules in the future, that will help us to solve global problems such as the food and energy crisis.”        * pesticide 殺虫剤、herbicide 除草剤、hormone ホルモン、fluorescent 蛍光を発する
講座番号4 生徒の感想
・原子の可能性を感じられて、研究職に就きたい気持ちが強まった。
・日本の大学でも外国人の先生や学生と関わることができるとわかった。
・分子の構造についてもっと知りたいと思った。 ・分子が生命の根源を決めるものであり、その研究は非常に奥深いと思った。
・英語での講義だったが、研究内容を僕たちに伝えようとしてくだっさていて、思ったよりよくわかった。
講座:5 (生物分野) 生物実験室(担当:小島)
講師:名古屋大学大学院理学研究科 生命理学専攻 講師 鈴木 孝幸 先生
題目:「生命の神秘を解き明かす発生生物学の世界」
概 要:発生生物学とは“胎児”の形が出来上がる仕組みを調べる学問です。生物学と名前がついていますが、現代の発生生物学では物理•数学•化学•情報•工学•進化学など様々な分野の最先端の知識を総動員して奇跡の生命体である“胎児”が発生していく過程を明らかにしようとしています。本講義では私が研究している脊椎動物の体の形が出来る仕組みを中心に、これからの生物学が切り開いて行く新しい世界を紹介します。
(高校3年生のみなさんへ)
私は高校では物理•化学を選択しました。大学の学部は理工学部の応用化学科を選択し、完全に化学の研究をしていました。そんな私が何故発生生物学の研究をしているのか?今の大学生はどんなことを学んでいるのか?など私が学生時代に考えたことや今の大学生の暮らしについても紹介したいと考えています。
講座番号5 生徒の感想
(興味・関心) ・キリンの首が長い理由がまだ解明されておらず、学問によっていろいろな考え方がある。
・キリンのゲノムがすべて解明されても、首が長くなることは解らない。
・いろいろな品種の犬は突然変異体である。
・烏骨鶏が変異体であるのに、その卵が高価な価値があることが不思議である。
・タンパク質の量で指の長さが変わる。

(発見・変容)
・人間も生物であり、現代の技術でクローン人間を作ったり、遺伝子操作ができることを改めて実感した。
・「なぜ指は五本ともちがう長さだろう?」といった当たり前だと思っていたことにも疑問を持つべきだと思った。
・変異体は身近なところにたくさんいる。
・専門分野を勉強するだけでは発展性に欠けると強く思った。
・「がんを克服する」というテーマに対しても「抗がん剤を作る」「癌の肝細胞を攻撃する」など多面的に考えることが必要だと感じた。
・生物学といっても、化学・数学・物理学と協力して研究を進める必要性が必須であり、高校の授業もすべての学問をしっかり学習すべきであると感じた。
・遺伝情報が解明されても、その生物がどのようにその形態になったかは未だ解らない。
・犬やキンギョが身近な変異体であることをがよく理解できた。
・遺伝子は形質を発現させる部分とそれを調節する部分があることを再確認できた。
・先生が楽しんで研究されていると強く感じた。
・前側多指症という先天性疾患の原因遺伝子が解っている。 さらに1/1000位の確率で突然変異によっても生じること。