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令和元年度 SSH事業「SSH理科特別講座」



1 目的   大学の研究者による講義を通して、最先端の研究や技術に触れる。これにより知的視野を広げるとともに
        科学技術への興味関心を高め、創造的発想力と論理的思考力による「科学の方法論」を身に付け、「質の
        高い探究心」を育成する。

2 日時   令和元年6月11日(火)5,6限

3 場所   (1)講座1:「物理の考え方と重力の世界」(図書室)
        (2)講座2:「小豆の赤色、餡の紫色はどんな色素に因るものなのか」(視聴覚室)
        (3)講座3:「ブラックホール影が初めて撮像された!」(物理実験室)
        (4)講座4:「顕微鏡で覗く宇宙に魅せられて」(生物講義室)


4 対象生徒 3年理系生徒(興味・関心・志望進路により上記のうち一講座を選択)


    講座:1 図書室(担当:井階)
    講師:東京大学宇宙線研究所 重力波観測研究施設 教授 大橋 正健 先生
    題目:「物理の考え方と重力の世界」
    内容紹介
     物理の考え方は、かなり大雑把である。その点、数学とは違って、厳密さをあまり要求しない。それよりは、様々な現象に隠れている共通性を、いわば心の目とも言えるものでとらえることを重要視している。例えば、物が落ちてくるのも、地球の周りを人工衛星が回っているのも万有引力によるものである。アインシュタインは、さらに深い思考実験によって一般相対性理論を築き上げていった。そういう面白さを紹介したい。
    講座:2 視聴覚室(担当:山田哲)
    講師:名古屋大学大学院情報学研究科 複雑系科学専攻 教授 吉田 久美 先生
    題目:「小豆の赤色、餡の紫色はどんな色素に因るものなのか」
    内容紹介
     イチゴ、ブドウ、ニンジン、ナス、ほうれん草、食べ物の様々な色は、食欲をそそり生活を豊かにします。これらはいわゆる植物性食品の範疇に入り、赤や紫はアントシアニン、橙色はカロテノイド、緑色はクロロフィルとされてきました。中でも、「アントシアニン」はポリフェノールの一種として機能性が注目され、なじみがあるのではないでしょうか。アントシアニンは花色素でもあり、多くの赤から紫、青色の花はアントシアニンによります。そのため、赤小豆の色素もアントシアニンであると誤解されていました。私たちは、赤小豆から新しい色素を見つけました。これは、アントシアニンとは全く異なる性質を持ちます。餡の紫色もこの色素によることがわかりました。この研究の経緯についてお話したいと思います。
    講座:3 物理実験室(担当:日高)
    講師:愛知教育大学 教育学部 教授 高橋 真聡 先生
    題目:「ブラックホール影が初めて撮像された!」
    内容紹介
     「ブラックホール」とは強重力により時空が歪められ、そこに近づくと光速度をもってしても脱出できなくなるという宇宙のアリ地獄的な領域のことです。銀河の中心領域には半径が太陽系程の巨大ブラックホールが存在すると考えられていますし、質量の大きな恒星が寿命を経た後には爆発して半径数キロメートルのブラックホールになると考えられています。これらのブラックホールは、アインシュタインの一般相対性理論の数学的解として理論的に予言されていますが、その観測的な証明は難しく、いままで直接的に天体観測(撮像)されることはありませんでした。  しかしながら、この春ついに、VLBIと呼ばれる電波望遠鏡技術を駆使して、ブラックホールの姿を撮影することに成功しました。ブラックホールが存在している様子を直接的に確認できたことになります。その姿は、明るいリングの中に潜むくらいの「影」でした。講演では、この影がなぜブラックホールの存在を証明することになるのか? いったいどのような天体観測を行ったのか? 明るく輝くリングの正体は何なのか? などについて紹介致します。 
    講座:4 生物講義室(担当:入船)
    講師:蒲郡市生命(いのち)の海科学館 館長 山中 敦子 先生
    題目:「顕微鏡で覗く宇宙に魅せられて」
    内容紹介
     漆黒の宇宙に漂う星雲、色とりどりの惑星、個性あふれる衛星たち。これら遠くの天体について、望遠鏡や探査機ではなく、顕微鏡を使って研究する手法があります。見て、触れて、顕微鏡で観察することのできる「隕石」は、実は太古の星雲のかけらであり、惑星の源でもあるのです。隕石から見える惑星科学の最先端についてお話しするとともに、“ミュージアム”の奥深い世界の一端もご紹介します。

    「SSH理科特別講座」に対するアンケート報告(PDF)