京都大学の Ryu Heungjin先生より、コウモリの生態系について、興味深いご講義を受けました。Ryu先生はコウモリの研究者であり、市民科学コウモリプロジェクトCitibatの運営にも関わっています。コウモリは分布地域や生態について未知の部分が多く、市民参加型の観測プロジェクトが重要であるとのことです。
先生は本研究に携わる前、類人猿ボノボの研究に長く携わっておられ、その中で専門とされていた性選択(パートナー選択や生物学的な精子競争、交尾システムなど)のメカニズムやモチベーションのお話もしてくださいました。
たとえば、蝙蝠が洞窟にびっしりと集まっている状況を見て嫌悪感を感じるのは、感染症の危険を察知して忌避する生存本能によるもので、これは進化の過程で獲得したものと言えます。また、人間だけでなくチンパンジーやオランウータンも甘いものが好きである理由として、脳の大きさが挙げられます。脳が大きい動物が甘いもの好きなのは、生存本能によるものとされています。
韓国出身のRyu先生は、日本に来てから韓国のことがよく分かるようになったといい、同様に動物の研究をすることで人間がより分かるようになったとおっしゃいます。また、韓国での研究経験が日本と韓国の違いをより理解するきっかけとなったことや、動物研究を通じて人間についても学ぶことができたと述べられました。
先生の高校時代のお話や研究対象の変遷、悩んだことについてもお話しくださり、とても勇気づけられました。