サイエンスツアー 岐阜

 8月8日(金)に実施し、午前中はフィールドワークの事前学習として瑞浪市化石博物館を訪れ、その後、化石採集を行いました。

 瑞浪市化石博物館では、学芸員の安藤佑介先生から瑞浪周辺で産出された化石の説明をはじめ、化石から古環境を推測する方法やフィールドワークで化石採集をする際のポイントをわかりやすくレクチャーしていただきました。「自分たちの住んでいる地域が昔は海だったという事が化石から読み解けるのか!」と化石と昔の大陸地図を前にワクワクしている生徒もいました。

 その後は野外学習地にて化石採集です。暑さが心配されましたが、全員夢中で化石採集にはげみ、貝や植物、サメの歯の化石を採集することができました。化石博物館で教わったことを生かし、「これは海が浅かった時の化石かな?」と早速化石から古環境を推測する生徒もいました。また、思ったように化石を見つけられず、化石採集の難しさに直面している生徒もいました。『実際は想像したようにうまくはいかない』こともフィールドワークに出てみないとわからない大切な学びです。

 午後は東濃地科学センターを訪れました。

 東濃地科学センターでは、日本原子力研究機構で研究されている地層処分や地質調査の方法、年代測定技術の重要性について教えていただきました。その後、研究室を見学し、実際の研究者の方々から研究内容のお話を伺ったり、年代測定器を見せていただいたりしました。

 研究者の方に研究のやりがいについて質問する生徒や、年代測定器の仕組みや大きさに驚く生徒、実際に研究で使用された難しそうな数式が書かホワイトボードを見て学校での数学の授業の大切さを実感する生徒など、それぞれ違った視点で学びや新たな気づきを得られたようです。

全国SSH「生徒研究発表会」

8月6日(水)・7日(木)に、神戸国際展示場にて生徒研究発表会が行われ、本校から2年生の3人が参加し、「共振を用いたワイヤレス給電における波の形状と送電効率の関係」というテーマでポスター発表を行いました。

全238件のポスターが並ぶ中、明和高校ブースにもたくさんの方が訪れ、熱心に発表を聞いてくださいました。

実際に実験で使用したコイルや、説明用のスライド資料を使い、わかりやすく解説するよう心がけました。

最終選抜グループ10件には手が届きませんでしたが、他校との情報交換や技術資料の提供を受けるなど、実りのある発表会となりました。

MCスプラウト 数学 夏の学校「連分数とフォードの円」

令和7年7月29日(火)、中部大学現代教育学部教授の糸健太郎先生に「連分数とフォードの円」というテーマの講座をお願いしました。参加者は34名でした。

まず初めに連分数について分母の中にさらに分数が入っているようなものだと説明をしていただきました。連分数は長方形の中をたくさんの正方形で埋めるような意味合いがあるという説明に加え、実際にA4用紙を折るような活動もしました。参加者は、手を動かしながら連分数とその図形的な意味、さらに黄金比についても理解を深めることができました。また実際のひまわりの花の画像を用いて、自然界にどのような形で黄金比が現れるのかの活動もありました。後半はフォードの円という定直線とそこに接するようなたくさんの円を考えていき、うまく設定をすると連分数と黄金比、さらにフォードの円がつながっている様子がよくわかるような構成でした。

MCスプラウト サイエンスツアー「関東研修」

8月4日(月)から8月6日(水)の日程で、2泊3日の関東研修を実施し、1・2年生合計30名の生徒が参加しました。

1日目は、JAXA筑波宇宙センターと高エネルギー加速器研究機構【KEK】で研修を行いました。

JAXAでは、宇宙航空研究開発機構 チーフエンジニア(有人部門担当) 坂下哲也氏より、宇宙生活や宇宙開発等宇宙全般におけるご講義をいただきました。宇宙環境やISSでの生活・実験の内容、また理学・工学といった将来の選択にかかわる内容を話していただき、生徒の進路選択の糧をいただきました。その後は展示室で実際に使われていた人工衛星の模型などを見学しました。

KEKではまず小林誠先生(明和高校卒業生・ノーベル物理学賞受賞者)より「量子力学の100年」と題して、ご講義いただきました。2025年が量子力学誕生から100年の節目ということで、ラザフォードの実験、ボーアの原子模型からハイゼンベルクの行列力学、シュレディンガーの波動力学までの話をしていただきました。その後、BelleⅡ測定器とフォトンファクトリーを見学させていただきました。両設備とも点検中ということで実験施設内まで入らせていただき、間近で説明をしていただきました。

2日目は、気象庁地磁気観測所へ行きました。初めに地磁気観測歴18年というベテランの長町信吾氏から地磁気の諸要素や地磁気観測の方法とそこから分かることなどについてご講義いただきました。その後、実際に地磁気観測を体験させてもらい、その結果から芝生の中に埋められた強力磁石の場所を探るという実習を行いました。初めて学ぶ内容で高精度な観測器具も用いての実習ということもあり、印象に強く残る実習となりました。その後、各施設の見学をさせていただきました。昔からの機器も現役で使われている一方で、ロストテクノロジーになっている機器もあり、地磁気測定の難しさが分かりました。

3日目は、東京大学大学院理学研究科の塩見美喜子先生の研究室を訪問しました。塩見先生からは「小さなRNAによる生体の仕組みの制御」と題して、ご講義いただきました。遺伝子の量は体のつくりが複雑な人間と体のつくりが単純な実験動物であまり変わらないが、複雑な生物には選択的mRNAスプライシングや非コードRNAの働きによって複雑さを実現していることなどを学びました。その後、塩見先生の研究室に所属している学生の方々から受験や大学生活についてお話しいただき、大学構内を案内していただきました。

また、明和高校の卒業生である現役東大生との座談会を行いました。高校の先輩という身近な存在であるおかげで、受験のことや理系・文系の選択や学部の選択について、ざっくばらんにお話を聞くことができました。

今回の関東研修で、生徒たちは多くのことを学び、充実した3日間となりました。そして高校卒業後の進路や研究したい分野、将来の職業について考える良い機会となりました。

MCスプラウト 数学 夏の学校「数学と身近な現象 コロナ禍から渋滞まで」

8月1日(金)、名古屋大学大学院多元数理科学研究科教授の大平徹先生に「数学と身近な現象 コロナ禍から渋滞まで」というテーマの講座をお願いしました。参加者は44名でした。

数学が世の中でどのように使われているか、4つの例で教えていただきました。

1つ目はコロナの感染予測についてです。SIRモデルを使って感染者数のピークを低くする方法を提言したり、ビッグデータを用いて人々の活動と感染者数には2週間程度のずれが生じることを発見されたりしました。潜伏期間を考慮するための遅れ微分方程式も紹介されました。

2つ目は集団行動についてです。まず、渋滞が起こる仕組みを説明していただきました。「最適速度モデル」に遅れや揺らぎを考慮すると、自然渋滞の発生が観測できました。次に、ひばりや魚などの群れの様子を、数理モデルを構築し、コンピュータグラフィックスによるシミュレーションで再現していただきました。

3つ目は暗号についてです。1960年代に提案された「公開鍵暗号」が1977年に「RSA暗号」として実現され、今も使われていることを教えていただきました。

4つ目は追跡と逃避についてです。単純なルールを複数重ねることで、自然界で行われる動きと同じような動きをすることを見せていただきました。

どの話も本来は難しい内容であると思いますが、かみ砕いて分かりやすく話していただき、数学を身近に感じることができました。

MCスプラウト 数学 夏の学校「コンピュータに数学を解かせる」

7月31日(木)、京都大学大学院情報学研究科准教授の村脇有吾先生に「コンピュータに数学を解かせる」というテーマの講座をお願いしました。参加者は51名でした。

 「コンピュータに数学の試験を解かせるとは?」という投げかけから始まりました。コンピュータ自体が「計算する」機械だがAIに問題を解かせると間違えることもあり、その過程の解説がありました。AIが数学を正確に解くとは「正しく読み、それを正しく計算する」という人と似たことを行っていることが分かりました。複雑になればなるほど与えられた問題を細かく分けて思考を連鎖しなければ解けないことも分かりました。また、ニューラルネットの解説をしていただきました。計算の仕組みに関しては微積とベクトルを使うシンプルなものですが、計算の要素の数が膨大で大量に学習させる必要があることが分かりました。

MCスプラウト 数学 夏の学校「カタラン数の組合せ論」

7月28日(月)、名古屋大学大学院多元数理科学研究科教授の岡田聡一先生に「カタラン数の組合せ論」というテーマの講座をお願いしました。参加者は41名でした。

はじめに、格子状街路の最短経路問題とパスカルの三角形の話から、二項係数についての紹介があり、それらを応用させる形で「カタラン数」についての紹介へと進みました。前半は、「カタラン数」を二項係数で表現する話で、計算で示すのではなく、格子状街路を使って、組合せ論的解釈によって説明がありました。トリッキーな部分はありましたが、様々なアイディアを駆使するところが面白かったです。

後半は、「カタラン数」からなる母関数を考えることで、数列(漸化式)の情報と関数の情報を対応させる内容について説明がありました。べき級数が登場するなど、高度な内容を含むためやや難しくなりましたが、場合の数の話に関数が登場するところが意外で驚きました。最後に、2分木や括弧の付け方、多角形の三角形分割など、「カタラン数」の解釈の具体例について紹介がありました。とても充実した時間となりました。

MCスプラウト 数学 夏の学校「空間図形の交わりや切り口を視る」

令和7年7月28日(月)、名古屋工業大学大学院情報理数分野教授の平澤三可美先生に「空間図形の交わりや切り口を視る」というテーマの講座をお願いしました。参加者は49名でした。

 はじめに、正多面体についてその成り立ち、および円錐曲線(円・楕円・双曲線・放物線)について説明していただきました。そのうえで、立体の切り口がどの形になるのかを考え、その理由も含めて説明していただいた。特に、円柱と円柱の交差、円錐と円錐の交差の切り口については、実際に立体を作成して理解を深めることができました。講義の後半は、ドーナツと平面の交わりを観察し、様々な切り口について解説していただき、その中で、計算をもって切り口を理解することも行いました。

立体の切り口をテーマで、幾何学の楽しさをや奥深さを感じることができました。

MCスプラウト 数学 夏の学校「『ユークリッドの互除法』でアルゴリズムを体験しよう」

令和7年7月25日(金)、筑波大学数理物質系/人工知能科学センター准教授の照井章先生に「『ユークリッドの互除法』でアルゴリズムを体験しよう」というテーマの講座をお願いしました。参加者は46名でした。

中学生でも理解しやすい「最大公約数」の話からスタートし、最終的に「拡張されたユークリッドの互除法」を用いて、和算の油分け算を解くところまで、中学生にでも理解できるように講義をいただきました。その中で、約数とは何か、最大公約数は何かなど、数学的な定義を一つ一つ確認しながら、「拡張されたユークリッドの互除法」に向けて準備を行いました。参加者とコミュニケーションをとりながら、全員が理解できるように時間をかけて説明をいただきました。最終的には、拡張されたユークリッドの互除法が、アルゴリズムに沿ってどう計算するのか、また、どのように油分け算の問題に活用できるのか、中学生でも周囲と話し合いながら、問題に取り組むことができました。大学数学の分野の内容であるが、中学生や高校生でも取り組みやすく、大変興味深い内容でした。講義の中で、照井先生から「一度聞いても理解できないことを考え続けて、少しずつ理解できることが大切である。」という数学の学び方についてもお話をいただきました。