校長挨拶

 愛知県立明和高等学校長
栗木 晴久

 本校は、天明3年(1783年)に徳川宗睦により開かれた尾張藩校「明倫堂」と、明治36年(1903年)に愛知の女子教育の先駆けとして開校した「愛知県立高等女学校」を前身とする、普通科と音楽科の2学科をもった高校です。

 卒業生には、ノーベル物理学賞を受賞した小林誠博士や、トヨタ自動車創業者で日本の自動車産業を興された豊田喜一郎氏、ロン・ティボー国際音楽コンクールのピアノ部門で優勝した田村響氏など、学術、産業、芸術の様々な分野で世界的に活躍されている方が多くいます。

 明倫堂の初代校長を務めた細井平洲(1728~1801)は、驕ることなく謙虚に自らの生活を律することを説きました。これが本校の校是「自主自立」の源流です。自主自律の人となるためには、豊かな知性と人間性を養うとともに、社会の一員として自らが果たすべき役割の自覚と責任感、そして他者と協働する力を身に付けることが求められます。本校の生徒は、日々の学習や部活動、学校行事に全力で打ち込むなかで、そのような次代を担うリーダーとしての資質や能力を育んでいます。

 文部科学省の研究指定を受けているSSH(スーパー・サイエンス・ハイスクール)では、将来、グローバル社会のリーダーとなる科学技術人材を育成することを目的として、大学や研究所とも連携した独自の教育課程を設けて「探究心」と「創造力」の育成を図っています。また、県立高校唯一の音楽科では、60余名に及ぶ一流の指導陣が、生徒個々の力を引き出す質の高いレッスンを行っています。

 令和7年(2025年)4月には普通コースと音楽コースを有する附属中学校が開校し、中高一貫校としての新たな歩みを始めます。附属中学校から進学する生徒と、各地域の中学校から進学する生徒が、文字どおり切磋琢磨しながら幅広く、また深く学ぶことで、これからの時代にふさわしい新たな明和の校風が生まれることを期待しています。

 明和高校の校歌は、「世界の空と呼び交わす」「明日の歴史をつくる」と謳っています。生徒の皆さんには、本校での学びをとおして総合的な知性を身につけ、自らが世界の未来を切り拓くことに貢献するという高い志を養い、自分自身の可能性に果敢に挑んでもらいたいと願っています。