令和7年10月22日(水)MCⅢ特別講義「小さな生き物から学ぶ生物のしくみ」の1回目を開催しました。
本特別講義は3年理系生物選択の生徒を対象とし、3回に分けて行います。名古屋大学 森郁恵 名誉教授より線虫C. elegansの学際研究について紹介していただき、同大学野間健太郎准教授より、線虫の観察、デモ実験を行っていただきます。
第1回の講義では、モデル生物として広く研究されている線虫について学びました。線虫は体長1mmほどの小さな生物ですが、全ての体細胞と神経細胞の位置や系譜が明らかにされており、行動・神経回路・遺伝子といった多階層的な解析が可能なことから、生命科学の研究に欠かせない存在です。

講義では、線虫が自分が餌を得た温度を「記憶」し、その温度を好むように行動する(温度走性)ことや、シナプスを介さずに記憶を保持する細胞があることなど、驚くべき生態が紹介されました。また、雌雄同体と雄の2種類の個体が存在し、1個体で受精できるというユニークな繁殖様式にも関心が集まりました。

生徒の感想
「最も印象に残ったことは、線虫を行動と個体や回路、神経細胞、遺伝子など様々なレベルで多階層的に見ることで新しい発見ができるところです。」
「遺伝子や細胞が全部わかっていても、それぞれがどのように関わって全体の構造ができているのかは分からないという点が印象に残りました。」
「線虫が飼育された温度を覚えていて、その飼育温度に依存して行動可塑性があることに驚きました。」

